人生において、日記が全く続かなかった私。
なぜか、2018年6月に妊娠が発覚すると「これを書き残しておこう」と決心しました。その頃、まだZINEという存在を知りませんでしたが、漠然と「いつか形に残そう」と思っていたのです。

あれから約6年。
子どもが小学生になった今、もはや妊娠出産は夢のような出来事になりつつあります。しかし、振り返ると自分でも驚くほどに色濃い期間でした。

ZINEの書き出しを試し読みとして置いておきますので、ご興味ありましたらお手に取ってくださいましたら嬉しい限りです。
はじめに
私が子どもを産んだ理由
好奇心である。女という生き物として、一度妊娠出産を経験してみたいと強く思ってしまったのだ。少子高齢化問題にどう立ち向かうか。はたまた、嫁いだこの家柄をどう守るか。
なーんて話は皆無なのである。一度産んでみたいから産んだのである。
大学を卒業し、30歳で結婚について考えればいいやと思っていた私は、ひょんなことから26歳で結婚した。デザイナーの私と、銀行員の旦那。しかも出会って1年ほどで結婚した。
お見合いではないけれど、勢いだけは人一倍あった。そんな夫婦。そして、私が結婚を決めた理由は「この人と一緒にいたら、知らない世界に触れられて楽しそうだ」と思ったからである。ちなみに、お互い知らない世界すぎたので、結婚後は3年ほど価値観のすり合わせで大格闘した。その間、何度結婚を後悔したか分からない(笑)。
夫婦のお互いの距離感も掴めるようになり、お互いの価値基準を理解した上で、共に暮らせるようになったのは30歳を過ぎた頃である。
仕事も私生活も落ち着いた頃、身の回りで「子どもを持つこと」に悩んでいる方と触れ合う機会が増えた。
全然気づかなかったけれど、意外と不妊治療をしているカップルが存在していた。幸せそうな身の回りの家族が、色々な経緯があって育まれた形だったことを知ったのだった。
子どもがいる生活は、今の夫婦2人の生活とはどう違うのだろう。というか、デザイナーの私と銀行員の旦那の掛け合わせは、どうなるのだろう。
もう一度いう、好奇心なのだ。
むくむくと出産への好奇心が育ち始めた頃、旦那の会社が吸収合併された。
その日、私は仕事をしていたので見られなかったが、営業を終えた店舗の閉まりゆくシャッターの後ろで他の行員さんたちと深々と頭を下げる様子が、地元の夕方のニュースで放送されたそうだ。
そして吸収合併後、旦那は心労が重なり、不整脈を発症した。県内にある大きな専門病院を訪ね、24時間心電図を取り確認した。結果は、3回の脈の内、1回飛んでいた。「心臓が3回に1回休んでいる」と医師に言われたそうだ。心臓が休むことがあるなんて初めて聞いた。そして、山登りや激しい運動は禁止されてしまった。
旦那はその後、転職などを経てストレス軽減に成功している。現在の健康状態は良好で、とても元気に暮らしている。
その時、私の頭をよぎったことは「この人と一緒にいられる時間は終わるかもしれない」という事だった。どうやら、旦那の方が私より早く死にそうなのである。そして、1人残された人生を想像したら、つまらなそうだと思ってしまった。ならば、まだ見ぬ子どもと一緒に生活できたら、それはとても刺激的な毎日なのではないのだろうか?
このZINEは、そんな好奇心丸出しの私の妊娠出産記録である。普段は決して日記を書かない私が、『多分こういうのって、何十年後かに見たら面白いのだろう』と思い、書き残していたものを加筆修正した物である。真面目に書くべきテーマかもしれないが、どうか好奇心を持って軽い気持ちで読んでくださると嬉しい。